ALYX

感情が宿る衣服。
PHOTOGRAPHY MATTHEW WILLIAMS
FASHION EDITOR VALERIA SEMUSHINA
INTERVIEW TEXT YASUYUKI ASANO
ALYX 1

2017-18 A/W JACKET, 2016-17 A/W FRAGMENT COLLABORATION T-SHIRT


ALYX 2

2016 S/S T-SHIRT, 2017 S/S CORSET ¥30,500 (MATT.) CHAIN STYLIST’S OWN


ALYX 3

2015-16 A/W DRESS, 2016 S/S BOOTS


ALYX 4

2016-17 A/W SHIRT, 2016 S/S TROUSERS, 2016 S/S BOOTS CHAIN STYLIST’S OWN


ALYX 5

2016-17 A/W TANK TOP, 2017 S/S SHIRT ¥59,530, 2015-16 A/W T-SHIRT, 2016 S/S TROUSERS, 2015-16 A/W BOOTS (MATT.)


ALYX 6

2017-18 A/W JACKET


ALYX 7

2017-18 A/W JACKET, 2017-18 A/W TROUSERS, 2016-17 A/W SHOES


ALYX 8

2017 S/S SPIDI COLLABORATION JACKET ¥330,500, 2016 S/S TOP, 2017 S/S SPIDI COLLABORATION TROUSERS ¥246,800, 2017 PRE S/S ROLLERCOASTER BELT ¥37,400 (MATT.)


ALYX 9

2016-17 A/W DRESS, 2015-16 A/W HAT


ALYX 10

2017-18 A/W BIKER JACKET, 2017 PRE S/S SHIRT ¥41,000, 2017-18 A/W LEGGINGS (MATT.) CHAIN STYLIST’S OWN


ALYX 11

2017 S/S T-SHIRT ¥23,500, 2016-17 A/W FRAGMENT COLLABORATION TROUSERS, 2016- 17 A/W SHOES (MATT.)


ALYX 12

2017-18 A/W JACKET, 2017-18 A/W TROUSERS SHOES MODEL’S OWN


ALYX 13

2015-16 A/W JUMPSUIT, 2017 PRE S/S ROLLERCOASTER BELT ¥37,400, 2015-16 A/W BOOTS (MATT.)


ALYX 14

2017 S/S BODYSUIT ¥41,000, 2016 S/S TOP, 2016 S/S UNDERWEAR, 2016-17 A/W GLOVES, 2016 S/S BOOTS (MATT.)


ALYX 15

2015-16 A/W T-SHIRT, 2016-17 A/W TROUSERS


ALYX 16

2016 S/S JUMPSUIT


ALYX(アリクス)とは、ファッションデザイナーのマシュー・ウィリアムスが手掛けるウィメンズウェアブランドの名前である以前に、彼の愛娘の名前である。もしかしたらコアなファンの方々は、アメリカ音楽業界で数々のビッグネームのクリエイティヴディレクターを務めてきた実績や、一世を風靡したDJチーム、BEENTRILLでの活躍から、既に彼の名を聞いたことがあるかもしれない。そんな彼が敢えて自らの名前ではなく、何よりも愛する娘の名前を冠して一からブランドを始めたところから、如何にこのブランドが彼にとってパーソナルで、家族のためのもので、真摯な気持ちでこれから長きに渡ってファッションと向き合っていく決意を示しているのか、ということを垣間見ることが出来る。

思春期を過ごしたカリフォルニアのユースカルチャーと、彼の愛する世界中のサブカルチャーが挿入されたイタリア製のウィメンズウェアは、ラグジュアリーに新たな息吹をもたらし、ロマンティックなストーリーを奏でる。まずはそのキャッチーなコレクションタイトルを見てみて欲しい。2015-16年秋冬コレクションの「MY FIRST TIME」から始まり、「SPECIAL PROBLEMS」、「NATURAL ORDER」と続き、そして2017年春夏プレコレクションの「NEW HAPPINESS」と、2017年春夏メインコレクションの「LOVE CHAOS」。一瞬にして様々な想像を掻き立てられるのは、決して僕だけではないはずだ。それぞれのストーリーは彼自身のこれまでの過去の経験から培われた極めてパーソナルな現在を反映し、随所に散りばめられた美のシークレットコードによって人々と共有され、感情に訴えかける。

誰よりも優しく、会う度にいつも元気をくれるようなハッピーなヴァイブスで溢れている彼だって、その裏では様々な苦悩があるに違いない。そんな彼がファッションと、そして何より自分自身と真正面から向き合い生み出していくエモーショナルな服が、僕は大好きで堪らない。


実は今でも初めてマシューに会った時のことは鮮明に覚えています。約3年前、奥さんのジェニファーと、まだ赤ちゃんだったアリクスと、BEENTRILLのプレゼンテーションでロンドンに来ていた時だと記憶しています。マシューのことを、BEENTRILLの創設者の一人として、もしくはその前のエンタテインメント業界でのキャリアで認識している方も多いのではないかと思うのですが、どのような道を経て自身のブランドの立ち上げへと至ったのでしょうか?

今思い返せば、本当に昔のことのように感じるのだけど……、2005年頃、19歳の時にカリフォルニアで服作りを始めたんだ。そこからNYに移住して沢山の人に出会って、色々な扉が一気に開き始めて。ミュージシャン達との仕事を開始して、セットやコスチュームからミュージックビデオに至るまで全てを手掛けるようになった。当時の音楽業界での経験から、音楽やフィルムでのコラボレーション、または写真や空間デザインなど、多様なクリエイティヴィティを自身のコレクションにインプットすることを学んだと思う。ブランドに関しては、自身の全てを完全に捧げることが出来る状態になってから始めようと考えていて、2015年に遂にその時が来たって感じて、ALYXをスタートしたんだ。


コレクションにはユニセックスでジェンダーレスなムードがあるにも関わらず、どうしてウィメンズウェアブランドとしてスタートしたのでしょうか? 現在ではメンズウェアとしてもとても人気がありますが、デザイナーとしてウィメンズとメンズの違いをどのように捉えていますか?

昔からずっとウィメンズウェアに対する強い興味を持っていたから、まずはウィメンズとしてスタートすることが重要だったんだ。ウィメンズはより挑戦的で複雑だから、僕にとっては凄く面白くてエキサイティング。現在のよりジェンダーレスな空気感は、バイヤーやカスタマーの声を聞いて出来たもの。自身の作る服をユニセックスだとは捉えていないけれど、そのようなカテゴリーにとらわれず、たとえどのような人であっても、僕の服が好きな人にただ純粋に着て欲しいと思っているよ。


今もまだNYに住んでいるのでしょうか? プロダクションの関係でよくイタリアへも行っていますよね。

NYは常に僕のホームで、そのカオスとエナジーが大好き。ただ、ブランドの基盤が僕の目標としているレベルに達するまでは、一年の大半をイタリアで過ごそうと決めたんだ。イタリアは本当に素晴らしい場所で、日々スタジオでクリエーションにフォーカス出来るし、供給業者や工場の人々に直接会うことも出来る。そして何より、必要な時に容易にヨーロッパ中を飛び回ることも出来る。そして、娘を毎日学校に連れて行ったり、生活のペースをスローダウンさせて、人生のシンプルな喜びを感じることが出来る場所だね。


ALYXのショールームに行くと毎回感じるのが、チームの皆がとても素敵で、とても良いムードだということです。そのチームについて少し教えて下さい。また、先日ミラノでSLAM JAMチームとディナーをしたばかりなのですが、沢山の人がALYXのアイテムを着用していて、マシューはここにもファミリーがあるのだなと感じました。

チームは僕にとって本当に重要なものだから、何年にも渡って慎重に作り上げて来たんだ。メンバーは合計12人くらいで、妻のジェニファーがセールスを担当し、また従兄弟も一緒に働いてくれているから、リアルなファミリービジネス感覚がオフィスにはあるんだ。SLAM JAMの皆はブランド開始当初からの大切な友人で、ファミリーの一員であることを光栄に思うよ。


初めて出会った時の話に少し戻るのですが、その時印象的だったのがマシューの長いブロンドヘアでした。昨年9月にパリで会った時、長かったはずの髪がベリーショートになっていて凄く驚きました。髪をバッサリとカットされた理由は何だったのでしょうか?

2016-17年秋冬シーズンのカタログ撮影をニック・ナイトとしていた時、突然髪を全て刈ってしまいたいと思ったんだ。ステラ・ルシアをモデルに、熱感知カメラを使ったクレイジーな撮影をしていた時、カメラの前でステラに僕の髪を刈ってもらおうと思い付いて。長い間ロングヘアだったから、変えるには凄い良い機会だったと思うよ。


そしてマシューが坊主頭になって気が付いたのが、後頭部に印象的なクロスのタトゥを入れていたということです。同様に、コレクションタイトルを背中にプリントしたボンバージャケットのように、どこかALYXのコレクションにはバックスタイルが印象的なものが多いように感じます。

確かに、バックスタイルは僕が好きなデザイン美学の一つだね。だから自然と僕が創る作品にも反映されているのだと思うよ。


そのボンバージャケットのように、またはローラーコースターベルトや、折り畳むと文字が浮かび上がるだまし絵Tシャツシリーズなど、ブランド開始からまだ数シーズンしか経っていませんが、既にシグネチャーと呼ぶことが出来るアイテムが数多く生み出されています。そのようなアイコニックなアイテムを次々と作り出せる理由は何だと思いますか?

そういったアイテムやディテールは、NY、パンク、カリフォルニア、アイテムの再活用といった、ブランドのアイデンティティを象徴していて、それらの一つ一つがブランドの小さなストーリーを垣間見せられるようになっているんだ。そのようなシンボルとストーリーの関連性を認識出来るからこそ、人々がシグネチャー的なアイテムとして認識し、必要としてくれているのだと思う。だからメタルプレートのディテール、グラフィック、そしてローラーコースターベルトのバックルのように、ALYXの象徴的な存在となっているキーピースは、毎シーズン継続的にコレクションに組み込んでいるよ。


それでは幾つかのシグネチャーアイテムに隠されたストーリーやアイディアについてお聞きしたいと思います。先述のローラーコースターベルト、だまし絵Tシャツ、そして前回のショールームでチームの皆が着用していた新作のボタンアップロングベストについて聞かせて下さい。特にロングベストは、個人的にも2017年春夏コレクションで最も好きなピースです。

ローラーコースターベルトのバックルは、僕が育ったカリフォルニアにあるマジックマウンテンのローラーコースターのシートベルトから採用したもの。そのバックルが好き過ぎて、製造業者に連絡してALYXのためにカスタマイズしてくれないかとお願いして。そもそも遊園地という場所が大好きなんだ。 例えばそこはファーストキスをした場所かもしれないし、初めてお酒を飲んだ場所かもしれない。僕にとっては大人になっていくことを象徴するような場所なんだ。だまし絵のグラフィックTシャツはシーズン毎にそれぞれのストーリーがあるのだけど、ベースとなっている「NATURAL ORDER」が「FUCK YOU」になる2016-17年秋冬シーズンのものは、子供の頃に持っていたSHORTY’S SKATEBOARDのTシャツへのリスペクトを込めたオマージュ。そのTシャツは「SHORTY’S」とプリントしてあるフロントを折り畳むと「FUCK YOU」って見えるようになっていて、僕は当時、そのプリントのことは上手く誤魔化して、おじいちゃんに買ってもらったんだよ。ロングベストは、実は僕個人としても今シーズンの一番好きなアイテム。ショールームに立つチームメンバー全員を同じルックにしたかったから、お気に入りのアイテムで揃えたんだ。


このようなアイコニックなアイテムの数々は、マシューのストリートウェアシーンでの経験やそこから受けた影響を、非常に繊細な方法で物語っているような気がします。過去数年間、所謂ストリートウェアブランドと呼ばれるものがとても人気ですが、ALYXとしてのストリートウェアに関する美学はどのようなものでしょうか?

最近、ファッションやブランドを形容する言葉が十分に存在していないのではないかと日々感じているよ。例えばストリートウェアという言葉も、時にはあまりに抽象的で、また時にはあまりに具体的過ぎると思う。ただ一つ言えることがあるとすれば、面白いストリートスタイルをしたキッズ達に囲まれて育ったカリフォルニア時代の思い出は、ずっと永遠に僕の胸に刻まれているっていうこと。それを含めて、自分が好んで着用するストリートなアイテムの新しいヴァージョンを作って、人々に喜んでもらいたいと思っているよ。


ストリートウェアカルチャーのヒートアップに伴い、どのセレブリティが何を着たかということが、業界内外で非常に重要になってきています。勿論、売上を促進するためにも必要不可欠なことではありますが、同時に一部の人々はあまりに盲目的過ぎるのではないかとも思います。このような状況について、意見を聞かせて下さい。

僕達は今、インスタグラムなどのソーシャルメディアが大きな力を持つ世界に住んでいるけれど、そのカルチャーは僕が育ってきた環境とは大きく違うから、個人的には過度にとらわれることは無いね。セレブリティの着用写真は売り上げを加速させるけれど、時を経て、クオリティとデザインがもっとその役割を担うようになることを願っているよ。


ALYXの特徴として挙げられるのが、ALPHA INDUSTRIESのボンバージャケット、DICKIESのワークシャツ、そしてROAのブーツなど、積極的にコラボレーションをしていることです。またブランドやメーカーとだけではなく、花柄の刺繍には日本人アーティスト脇山絵吏のイラストレーションが使われていたり、数多くのアーティストとも一緒に作品を制作していますよね。マシューが思うコラボレーションの魅力とは何でしょうか?

第一に「本物の服を作る」ということが凄く大切。例えばモーターサイクルジャケットを作りたいと思った時に、あるジャケットの見た目をただコピーするのではなく、僕は本物のライダー達が着用できるようなリアルなものを作りたいって思うんだ。だからイタリアのモーターサイクルアパレルブランドであるSPIDIを見付けて、お互いに誇れるようなコレクションを制作したんだよ。それに、誰かとコラボレーションすることは決して簡単ではないけれど、その結果として沢山のインスピレーションを得ることが出来る。例えばROAが最高のハイキングブーツを作っていることはよく知っていたけれど、コラボレーションすることで更にそれを上回るものを作りたいと思ったんだ。本物ではなく、同じようなものをデザインすることにお金と時間を費やした方が簡単かもしれないけれど、僕は本物を手掛ける人々の努力や精進を尊敬して、一緒に物作りをしたいと思っているよ。


引き続きコラボレーションに関連して、ALYXのイメージ作りにおいて最も重要であり、初期から作品制作を手掛けているのがニック・ナイトですよね。どのような経緯で彼と一緒にヴィジュアル制作を手掛けるようになったのでしょうか? また実際に彼と仕事をしてみて何を感じましたか?

まず何より、偉大なフォトグラファーであるニック・ナイトを親愛なる友人と呼べること自体が物凄くラッキーなことだね。何年も前から共に作品を手掛けてきて、特別な関係を築けていると思う。彼はいつも本当に大きなインスピレーションを与えてくれて、彼の作品は勿論、その制作プロセスも含め、心から尊敬しているよ。コラボレーションする時は、毎回限界を超えて新しいものを生み出すことが出来るよう、お互いに最大限にチャレンジするんだ。その作品が間違いなく、心から良いと思うことが出来るまで、何回でも自ら進んで突き詰めていくことが出来る人と一緒に作品が作れて本当に嬉しいよ。だからカタログやイメージの制作においては、敢えてデッドラインを設けないで、誇れるものが出来上がるまで何度だって挑戦しているんだ。


そのようにニック・ナイトとベストを尽くして生み出される写真や映像は、いつも素晴らしい仕上がりですが、その中でも僕が大好きなのは2017年春夏プレコレクションとメインコレクションのダブルテーマフィルムとしてSSENSEで昨年公開された『I AM VELOCITY』です。3M反射素材のジャケットを着たライダーが、行き交う車のランプを反射させて走り抜ける様子を、ドローンを使って上空からとらえたこの作品には本当に圧倒されました。

以前から、反射素材で完全に覆われたライダーとモーターサイクルが暗闇を駆け抜けて行く、というアイディアは心に秘めていたんだ。ライダーの道筋を視覚的に辿ることが出来、そのイメージが凄く気に入っていてね。2017年春夏プレコレクションでSPIDIとコラボレーションし、更にSSENSEとも継続的なプロジェクトをしていた今回のタイミングは、正にこのアイディアを実現するのに最高のチャンスだったんだ。このショートフィルムでは、強さ、スピード、そしてカオスがテーマでありながら、そこには美しさや幻覚も同居していて、更に極めて機械的でありながら、反対に人間についても同時に語っているんだよ。当初あったアイディアを、ニックがネクストレベルにまで引き上げてくれて、実際に大切なシーンでは沢山の時間を費やして撮影してくれたんだ。他にも仲の良い友人であるイェッペ・ラウルセンが音楽を作ってくれたり、関わってくれた人達のハードワークがあってこそこの作品が完成したんだよ。僕はイタリアにいて、ニックはロンドン、イェッペとエディターはLA、そしてSSENSEチームはモントリオールと、物理的な距離がある中、上手くコミュニケーションを取って進められたことも大きな収穫だったね。


イェッペ・ラウルセンが手掛けた音楽も印象に残っています。音楽に関していえば、マシューは以前よくDJもしていましたし、音楽にはかなり造詣が深いと思います。ブランドを象徴するような、ALYX的クラシックスを幾つか教えて下さい。

すごくALYX的だと感じる曲は、実は沢山あるんだ。その中でも個人的に大好きなものを幾つか挙げるなら、ビリー・ブラッグの『A NEW ENGLAND』、ザ・スミスの『ASLEEP』、ニュー・オーダーの『CEREMONY』、ピーター・ガブリエルの『SOLSBURY HILL』、ザ・キュアーの『PICTURES OF  YOU』、ジョイ・ディヴィジョンの『DISORDER』、デペッシュ・モードの『SHAKE THE DISEASE』、サレムの『KING NIGHT』あたりだね。


脇山絵吏の花のドローイングについても少し触れましたが、過去のコレクションやインスタグラムでの投稿などを見ていると、マシューは花に対してのオブセッションを抱いているのかな、と感じました。ALYXにおける花の存在は何を意味しているのでしょうか?

花というものは、美しさという概念の極めて純粋な形だと思うんだ。花は咲いては枯れ、常に変化していて、何一つとして同じものがない。だからこそ皆の心に本能的に響くものだと思う。そして心を安らげるものであると同時に、エモーショナルなものだね。


他にもALYXの大きなインスピレーションの一つとして、マシューが育ったカリフォルニアのスケーター達に象徴されるようなサブカルチャーとユースが挙げられるかと思います。これらの要素はどのようにブランドに挿入されているのでしょうか? 故郷に対するノスタルジアなのでしょうか? それとも全く異なる何かを表しているのでしょうか?

その通り、カリフォルニアで過ごした少年時代は常に僕の作品やデザインの欠かせない一部となっているよね。僕がどのように成長していったかということだから、常に僕を構成するパーツの一つで、意識的にブランドやコレクションに付け加えようとしている訳ではないけれど、自然とインスピレーションになっているんだ。でも僕は決してノスタルジックな人間ではないと思う。今を生き、前へ進んで行くことこそが人生における最高の方法だと信じているよ。


インスタグラムを見ていて気になっているのが、「#ALYXHEROES」「#ALYXGIRLS」「#ALYXMOOD」といったハッシュタグを添えて投稿されるヴィジュアルの数々です。ALYXにおけるアイコンやミューズとは、どのような人々なのでしょうか?

僕が最もインスピレーションを受けるのは、ALYXを着用してくれている友人や家族。自分にとって身近な人々が、僕の作った服に対してそれぞれの着方を見出して、それぞれ違ったピースを着こなしているのを見ると、本当に嬉しく思うよ。その様子が常に手に取るように分かるこの状況こそが、インスタグラムをはじめとするソーシャルメディアがもたらした本当にポジティヴな要素なんじゃないかな。世界中の人々がALYXをしっかりと理解して、沢山着てくれている様子がすぐに分かるって、本当に素晴らしい気分なんだよ。


その他にインスピレーション源となっているものはありますか?

特定のものを挙げるのは難しいけれど、インスピレーションって実はそこら中に存在していると思うんだ。例えば、新しいファブリックだってそうだし、環境に配慮した新たな生産テクノロジーもそう。もしくはNY、カリフォルニア、イビザ、イタリアのパナレーア島、アントワープといった、僕の人生における大切な土地。そういった場所独自の歴史、またその歴史から生まれた服。勿論、僕の家族、友人、仲間との交流。クラブで大音量でプレイされる音楽、各土地でのナイトアウト、見知らぬ人のダンス。苦しみや悲しみを感じた瞬間、また落ち込んでいる時でさえもインスピレーション源になり得るんだ。全てはどこかで繋がっていて、常にインスパイアされているっていうことだね。


今回のインタビューを通して、僕が何故ALYXを好きなのかをずっと考えていたのですが、その一番の理由は、ALYXがとてもエモーショナルなブランドだからなのだと気が付きました。言い換えるならば、そっと感情に訴えるような何かが内在し、それは自然と思考を発生させ、どこか心が動かされるような。ヴィジュアル、コレクション、シーズン毎のタイトル、そして何より一つ一つの服そのものから、自然とその裏に隠されたストーリーを想像してしまいます。人々にこのような感情や思考を与えられるのは、どうしてだと思いますか?

ありがとう。クリエイティヴな仕事をしている者として、今までに受けた最大級の褒め言葉だよ。前の質問でも話した通り、僕の作る服は、僕の感情の捌け口でもあるんだ。だからこそ、他の誰かがそのような形でピースから何かを感じて、繋がりを見付けることが出来るのだと思う。そしてそのピースに目的が宿り、ただ一つのオブジェクトを超えた存在になることを嬉しく思うよ。


ファッション業界全体に関してお聞きします。ファッションは人々を辟易させるものだと言う人もいますが、マシューは先程からずっと、美しさというものを強調しているように感じます。ファッションの美しさとは一体どのようなものなのでしょうか?

これまでの人生を捧げた結果、今ではファッションというものは、僕にとってまるで呼吸をするかのように、常に存在するものになっているんだ。僕にとってファッションとは、僕達の今、僕達の世界を反映するものであり、だからこそ僕達の世界の美しさをファッションに映し出すことが出来ると思っているんだ。ただ、それと同時にこの世界の醜さもね。そんなファッションの世界で僕が美しいと思うのは、コミュニティとしての機能と、そこで言語や社会的背景に関係なく、幾つもの次元において人々とコネクト出来るということなんだ。愛や友情でさえファッションを通して見付けることが出来るからね。


そのような世界で、自らのブランドを通して表現していく決心をしたマシューですが、あるインタビューでそのような人生の決断の秘訣として、「自らの心の声に従うこと」が大切だと話していたと思います。これはとてもシンプルなアドバイスだと思うのですが、様々な障壁が存在する現代社会において、それは決して簡単なことではないとも思います。日常生活において、心の声に注意深く耳を傾け、それに従うためにはどうすればよいと思いますか?

正確には、「心の声を見付けて」と言ったんだ。本当の自分が何なのかを見付ければ、その自分自身を仕事にも自由に開放出来るからね。自分自身であることに恐れず、世界に飛び込めばいい。仕事を通じて、自分らしく思い切って生きればいい。時にはその他大勢のアドバイスに反してでさえ、自分の心から信じるものに突き進まなくてはいけない。他者のアドバイスを聞くことも大切だけれど、時には自分自身にのみ耳を傾けることだって重要なんだ。たとえその後に大きな反動がやってきたとしてもね。やる価値があることはいつだって、困難なことなのだから。


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GRAPHIC DESIGN UBER, KOSHER.
RETOUCHING CAMERON DEMARCO.
PRODUCTION JENNIFER WILLIAMS.
PHOTOGRAPHIC ASSISTANT CAMERON DEMARCO.
BRAND ASSISTANT MORGAN GRIFFIN.
PRODUCTION ASSISTANTS ERIN MURRAY, KEVIN GRANDAL, VIOLA FEDERZONI.
MODELS ANASTASIJA JURE AT MOON MODELS, HUGO LESOURD.