TRIBES
ISSUE 6
写真家を例にとって考えてみよう。彼らは海外で評価された瞬間に、作品が凱旋帰国を果たし、たちまちトップ・フォトグラファーなどと称されることになる。確かに、日本人に対し、見慣れた景色を撮影している日本人写真家を珍重しろという方が難しい相談なのかもしれない。しかし、自国内で起こっている現象、ヒトやモノなどに向き合っている彼らに目を向けずして、なぜ海外のものばかりにエキサイトしてしまうのだろうか？ なぜ日本人写真家は、海外の“なんちゃら”アワードを獲得するまで無視され続けてしまうのだろうか？
森村泰昌も警鐘を鳴らしているように、今、日本人は「考える」という選択肢を失いつつある。強大な何かに扇動され、または扇動されないように扇動され、そこには自由な精神の下に思考するという選択肢すらが浮び上がってこない構造が出来上がっているのではないかと、不安を覚えずにはいられない。それは決して政治的なことだけではない。先に述べたようなファッション系トピックにしろ、アート系トピックにしろ、それら作品に相対するとき、思考することができなくなってしまったら、ファッションやアートには存在価値などこれっぽっちもないのである。
創刊号ではたくさんの「JAPAN」を詰め込んでみた。表紙にはヘアアーティスト、加茂克也が数時間かけて花や昆虫を用いて作り上げてくれたフェイシャル・アートワーク。他にも日本人クリエイターたちの作品や声、着眼点といったものが本号全体に散りばめている。とはいえ、スケジュールやページ構成の都合上、紹介できていない人は星の数ほどいる。しかしそれは、日本に素晴らしい才能がたくさん溢れていることの証拠でもあるのだ。
日本とはどんな国なのか？ 日本人とは？ そして、この国の未来は？
AOI
SHIRT ¥27,000, CAMISOLE BY MARC BY MARC JACOBS (MARC JACOBS CUSTOMER CENTER)
NANAMI
DRESS ¥94,000, NECKLACE ¥58,000 BY WONDER ANATOMIE (H3O FASHION BUREAU)
BRACELET ¥9,800 BY M.Y.O.B NYC (M.Y.O.B NYC STORE)
MARISA
TOP ¥52,000, LEGGINGS ¥26,000 BY WONDER ANATOMIE (H3O FASHION BUREAU)
EARRINGS ¥7,200 BY M.Y.O.B NYC (M.Y.O.B NYC STORE)
MAKO
JACKET ¥112,000, SKIRT ¥38,000 BY WONDER ANATOMIE (H3O FASHION BUREAU)
EARRINGS ¥6,900, NECKLACE ¥11,000 BY M.Y.O.B NYC (M.Y.O.B NYC STORE)
GABRIEL
LEFT: JACKET ¥58,000, SHIRT ¥30,000 BY PHENOMENON (PHENOMENON)
RIGHT: COAT ¥440,000, SHIRT ¥82,000 BY DIOR HOMME (CHRISTIAN DIOR)
HAIR & MAKEUP KATSUYA KAMO AT KAMO HEAD.
MANICURIST EICHI MATSUNAGA.
PHOTOGRAPHIC ASSISTANT KIM REENBERG.
DIGITAL TECHNICIAN KEVIN KUNSTADT AT CAPTURE THIS.
RETOUCHING TOMOKO INOUE AT IINO GRAPHIC IMAGES.
STUDIO ASSISTANTS KENJI YAMASHIRO, HAN GIL RYUNG, MAMI MURAKAMI AT IINO MEDIAPRO.
STYLING ASSISTANTS YASUHIRO TAKEHISA, KOTARO TAKAHASHI, NAOKI AKIYAMA, RIKI YAMADA, KEISUKE FUJITA, RIEKO SANUI.
HAIR & MAKEUP ASSISTANTS KEIKO TADA AT MOD’S HAIR AND TOMOKO SATO.
SPECIAL THANKS TO HITOSHI NAKANE AT IINO MEDIAPRO.
