INTERVIEW WITH ROMAIN KREMER

新時代へと突入するCAMPERの裏側。
ISSUE 1
PHOTOGRAPHY HIROKAZU KOBAYASHI
FASHION EDITOR TATSUYA SHIMADA
INTERVIEW JUNSUKE YAMASAKI
ROMAIN KREMER
CAMPER クリエイティヴ・ディレクター


CAMPERとのコラボレーションはどのようにスタートしたのでしょうか?

2008年にCAMPERサイドからコンタクトがあり、2009-10年秋冬シーズンのTOGETHERプロジェクト用にシューズデザインをしてほしいというオファーがありました。


当初、ブランドに対してどのようなイメージを持っていましたか?

正直に言うと、ブランドサイドからの連絡をもらったときに初めて、ショップへと足を運びました。もちろんブランドの存在はしっかりと認識していたのですが、消費者としてはCAMPERのプロダクトにあまり触れてこなかったんです。ただ当時から、素晴らしき価値観を持ち、デザインや建築、アートにも造詣の深い尊敬すべきブランドだと捉えていましたね。


ブランドの歴史の何を保持し、そこにどのような変革を与えていきたいと考えていますか?

過去2年で40年間分のブランドアーカイヴに目を通し、会社やファミリーの歴史について色々な発見をする中で、より一層ブランド哲学やその価値観に親近感を覚えるようになりました。ノウハウ、クオリティ、コンフォート、ユーモア、マーケットにおける独特の立ち位置など、ブランドが培ってきたそのすべてを継承したいと思っています。その上で挑戦すべきことは「カジュアル」の意味を問い続けることだと考えています。約40年前、その当時、急成長を遂げていたスニーカーとは異なるカジュアルシューズを提案するべく、CAMPERは誕生しました。ラグジュアリーブランドからスポーツブランドまで、今日ではカジュアルシューズはどこでも見つけることができるものになりましたよね。僕はCAMPERブランドを通し、カジュアルさや快適さの限界へと挑戦し、そしてクラシックと技術革新のハイブリッド感、さらにユニセックスさというものを追求していきたいと考えているんです。


CAMPERでの制作プロセスについて詳しくお聞かせください。

店頭に並ぶ一年半前からコレクション制作を開始します。今現在は2016年春夏コレクションの仕上げ段階、そして僕にとって5シーズン目となるその次の秋冬コレクションの制作に取り掛かり始めている段階です。しかし今日現在、お客さんが店頭で目にしているのは僕の2シーズン目のデザインということになります。

マヨルカ島では世界中から集まった素晴らしいデザインチームと作業をしています。驚くようなノウハウを持ち合わせた技術者たちもいるので、実験的かつ革新的なことに取り組む機会にも恵まれていますね。靴作りについて多くを学ぶことができますし、理解が深まることで挑戦すべき限界値も見えてきます。また、サンプル制作にかかる時間はたったの24時間なんです! さらに広告キャンペーン、ソーシャルメディア、ウェブサイトやストアについても“革命”を起こすべく注力しています。昨年9月には世界8都市のCAMPERストアを「Labストア」として、新しいアプローチとともに最新のプロダクトだけをプレゼンテーションする実験的ストアコンセプトへと生まれ変わらせました。つい最近もソウルと香港にLabストアをローンチしました。今年1月のパリのメンズファッションウィーク期間中にはイベントも行ったり……、たくさんのプロジェクトに取り組んでいますね。


2015年春夏シーズンのヴィジュアルや映像、またパリでのイベントについてお聞かせください。

単にシューズだけでなく、そのものが持つ感情みたいなものも表現したいと考えました。そこでシューズ毎のアバターを創造し、ポートレイト撮影をするというコンセプトに辿り着いたのです。また、写真も映像も、高度なデジタル表現へと落し込みました。パリの発表ではお客様たちとコネクトするという側面も踏まえ、6ヵ月後に店頭入荷する商品を発表する従来のファッション・カレンダーとは異なり、2015年春夏シーズンに入荷するコレクションをお披露目することにしたのです。インスタレーションそれ自体は“靴の展示”ではなく、アート・インスタレーションのようなものにしようと考えました。フラッシュライトが放たれたボックス、そしてキャンペーンヴィジュアルや映像が連動した”デジタル・セレモニー”のようなものを表現したんです。


新生CAMPERの広告キャンペーンなどを制作しているのは若いクリエイターたちばかりです。そこには何か特別な理由があるのでしょうか?

ネームドロッピングすることも、過度にセンセーショナルな表現もCAMPERには必要ありません。今までも若いデザイナーや建築家たちとコラボレートしてきていますし、常に新しい才能を信じるのがCAMPERなのです。その哲学はブランドにとっても非常に重要で、それこそがお客様に新しいものや才能を提案していくことにつながっていくからです。


CAMPERにとっての新しい客層、そしてネクストステップとは?

CAMPERはすべての人のためのものです。より尖ったファッションが好きなファンも増えることを期待しています。また、現在はバッグやレザー小物、ソックスのコレクション制作を始めているところです。


ROMAIN KREMER

FROM TOP:
MEN’S BROWN ¥26,000, WOMEN’S CREAM ¥24,000, MEN’S WHITE ¥25,000, WOMEN’S PINK ¥25,000, MEN’S TRICOLOR ¥28,000, MEN’S GREEN ¥23,000 BY CAMPER (CAMPER)


INTERVIEW JUNSUKE YAMASAKI
PHOTOGRAPHY HIROKAZU KOBAYASHI
FASHION EDITOR TATSUYA SHIMADA
STYLING ASSISTANT EMIKA KOBAYASHI