MATCH MADE IN HEL / JOHN LAWRENCE SULLIVAN

ヘルシンキ国際空港にてショーを披露したデザイナー、柳川荒士にインタビュー。
今年5月、FINNAIRが主催するファッションイベント「MATCH MADE IN HEL」がフィンランド・ヘルシンキ国際空港にて開催された。アジアとヨーロッパを代表する7人のデザイナーが選出され、日本からは柳川荒士がデザイナーを手掛けるブランド、JOHN LAWRENCE SULLIVANが参加。現在、ランウェイ形式ではなく展示会ベースでコレクションを発表している彼が何故、今回の参加を決意したのだろうか。ショー当日の朝、ヘルシンキ内のホテルにて、柳川荒士にインタビュー取材を行った。


まず、今回のショーに参加することを決めた経緯を教えて下さい。
友人のトーマス・ライティネンからメールを貰って、今回のショーを説明してもらい「荒士に是非、参加して欲しい」と言われたのが最初でした。今まで積極的にこういうショーに参加したことがなかったのと、昔、パリでショーを発表していた時に、こういう場で発表すると自分達の力が100%出せないんじゃないのかなという懸念があったのですが、プライベートでも知っているトーマスということと、ショーを発表していない時期の自分達にとってプラスになる要素が凄く多いと感じたんです。将来的にもまたファッションショーをやりたいと考えている自分達にとって、もしパリで単独でショーを開催しても自分達の力では呼べないような海外のジャーナリストも沢山出席していたので、参加することを決意しました。

空港の滑走路でショーを開催すると聞いてどう思いましたか?
この後、初めて会場を見に行くのですが、どういう形式でやるのか実は全く何も聞かされていなくて……。飛行場の滑走路でショーをやるなんて、後にも先にも一生に一回だけだろうし、自分自身とてもワクワクしています(笑)。

ヘルシンキは初めてですか?
初めてです。去年の8月に北欧の旅をしたのですが、ヘルシンキだけ寄れなかったのが心残りだったんです。ヘルシンキ出身の友達が多いので、絶対に訪れてみたかった場所でした。

ヘルシンキの街はどうですか?
北欧全体にいえることなのですが、車のクラクションがまず鳴らない。信号を渡ろうとすると必ず止まってくれたり、人が親切で、自分もこういう所に住んだらもっと穏やかな人間になれるんだろうなって。東京を恨みます(笑)。

久し振りにランウェイ形式で発表しますが、今回はどのような演出をしたいですか?
ショー形式での発表をやめた後も、ダイナミックさと鋭さを磨いてきたつもりで、それがルックブックの中で少しずつ表現出来てきたのかなと思っていました。写真の中では限界があるので、久し振りに動きのある表現を発表出来るのが物凄く楽しみです。他に選ばれたブランド達の個性が、皆違うタイプなので、その中で自分のブランドが来場者にどういう風に伝わるのだろうかという不安と、楽しみの両方の思いがありますね。久々にドキドキする感覚があります。

メンズラインとウィメンズラインの大きな違いは何でしょうか?
ウィメンズは5年目で、始めた頃はメンズのようなハンサムなスタイルをウィメンズでも提案出来るブランドって中々無いと思い、僕はそこをやればいいかなって。ストイックにハンサムな洋服を提案していたのですが、徐々にウィメンズの面白さも感じてきて、メンズでは出来ない面白い素材だったり、閃いた発想がすぐ形に収められたり。今は女性が着た時のシルエットや、体型をカバー出来るシルエット、美しさと可愛さと格好良さが共存する服作りを考えています。そこが面白くて、最近はウィメンズに対してより時間を費やすようになりましたね。

現在、取り扱いは海外でも増えているのでしょうか?
ウィメンズはまだ海外セールスをやっていないので、東京に口コミで来てくれたアジアの数店舗だけで展開しています。勿論、どこか良いショールームがあれば海外でもやってみたいとは思いますね。メンズとウィメンズの両方を展開していても、ウィメンズの割合が多いと思いますし、シンプルでメンズライクに構成されているブランドが最近は世界的にも注目を浴びているケースが多いと思います。もう少しウィメンズを磨いて、次にショーを開催するタイミングでウィメンズも発表出来たら強いのかなと。それに、最近はウィメンズがメンズのセールスを抜きつつあるんです。

日本の強みや日本人として心掛けていることはありますか?
日本でファッションをやっている僕ら世代の人達って、ミックスカルチャーが凄い強かったと思うんです。古着にブランドものをミックスしたり、そういうのが“東京”だったと思うんですよね。そういう部分から自分もテイラードジャケットをベースにしたブランドをやっているので、若い頃から培ってきた独特のミックス感が日本ブランドの武器かなと思います。SACAIさんとかFACETASMさんを見ていると、東京の武器を上手に使っているなって。自分のブランドにはそれが顕著に出ていないと思うので、JOHN LAWRENCE SULLIVANというブランドの中でもう少しそこが表現出来たらなと。まだまだそこが足りない部分だと思っています。


ヘルシンキでのショー「MATCH MADE IN HEL」で発表された、JOHN LAWRENCE SULLIVANの2016-17年秋冬コレクションより。

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