NEXT DECADE / JUNSUKE YAMASAKI

次世代におけるファッションデザインの在るべき姿とは?/山﨑潤祐 1/5
ISSUE 5
本号冒頭でニコラも語っている通り、「とにかくポジティヴな何かを発信していきたい」という思いでコンテンツ制作を進めてきた。中でも「次世代におけるファッションデザインの在るべき姿とは?」という問い掛けの下、新人デザイナー達だけでなく、今この時代に注目すべき非新人デザイナー達も紹介したいと考えたのだ。

インタビュー取材をしたデザイナー達については、当該特集ページを読んでもらいたいと思うのだが、少し補足しておきたいのがラフ・シモンズについて。『THEM MAGAZINE』(2016年夏号)で書かせて頂いた内容の繰り返しのようになってしまうが、メンズファッションにおけるデザインについて考察する際、彼の手掛けてきたデザインが後世に与えた影響はあまりに大きい。発想の自由さ、表現力の強さ、素材の新しさ......。「誰が何を最初にデザインしたのか?」というプルーフチェックをしていけば、彼のデザイン全てが“新しかった”とはいえないかもしれない。しかし、そんな退屈な理屈は抜きにして、当時のトキメキや、その後のメンズファッションシーンの様相、2017年現在に世界中で巻き起こっているRAF SIMONSのアーカイヴピースへの注目度を見れば、彼の足跡がシーンに与えたインパクトの大きさは自明だろう。そんな理由から、RAF SIMONSのアーカイヴピースを様々な人達に料理してもらい、32ページに及ぶ特集を組むに至った。未来を見据えるためには、しっかりと過去を振り返ることも必要不可欠だと考えたからである。

山縣良和によるイラストレーションについても触れておきたい。彼が手掛ける WRITTENAFTERWARDSは、「おとぎ話のその後のストーリーを伝えていく」というコンセプトで生まれたブランドだが、ここでは「WRITTENFORWARDS」と題し、ファッションデザイン画を少し意識したタッチで、未来の装いをストーリー化して描いてもらった。人間なのか、はたまた人間ではないのか......、そんな様々なキャラクター達が登場する彼なりの「ファッション未来予想画」に仕上がっている。

更に、この次のページからは本号テーマに沿って、四人の方々にそれぞれ自由なスタイルで執筆してもらった。雑誌作りをする際、企画を立てた後に色々な人達に打診をしていくのだが、僕の経験上、最初にリストアップしていた全員に引き受けてもらえるということは今まで一度も無い。しかし、今回は奇跡的に、考え得るベストメンバーに執筆してもらうことが出来、その内容も非常に興味深いものになっている。

「次世代におけるファッションデザインの在るべき姿とは?」。

本号のコンテンツを通し、読者一人一人にその答えを模索してみてもらいたい。