YOSHITAKA AMANO

天野喜孝
INTERVIEW TEXT RISA YAMAGUCHI
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天野喜孝
イラストレーター


奇才の次なるプロジェクトとは?

日本のアニメーション業界の先駆者として現在もなお、第一線で活躍し続けているアーティスト、天野喜孝。そんな彼が最も多くの時間、エネルギーを注ぎ込んでいる最新プロジェクト、CANDY GIRLの世界観を覗いてみた。

「物心ついた頃から絵を描いていたね」という天野は、15歳の時、履歴書を持参し、タツノコプロに行ったのがきっかけでこの業界に足を踏み入れることとなる。当時の生活を振り返り、彼はこう語る。「寮生活をしていて、部屋は二人部屋で学校の部活みたいな感覚だったね。月曜から土曜、朝6:30から夕方5:30くらいまで働いてたかな。最初は絵を描かせてもらえなくて色々なことをやらされたんだけど、定期的に試験があって、それに脱落するともうダメなの」。そんな下積みの時代を経て、天野の才能はすぐに開花する。「最初に関わった仕事が『マッハGOGOGO』、オリジナルでキャラクターをおこしたのは『タイムボカン』『新造人間キャシャーン』『ガッチャマン』とかかな」。『昆虫物語 みなしごハッチ』から『ファイナルファンタジー』まで、両極端とも思える作風を描き分けることでも世の人々に驚きをもたらし続けている天野。キャラクターが生まれる瞬間は「閃く」という。「あんまり苦労したことがない。クセみたいな感じかな」とサラッと答える彼の姿は、正に奇才という言葉が相応しい。

最新作は彼の作品のテイストを振り返っても、最も現代的かつカラフル&ポップなシリーズ、CANDY GIRLだ。決して単なるゲームやアニメのキャラクターとしてではなく、アートとして世界に向けて発信される。ピーター・マックスやアンディ・ウォーホールなどに代表されるポップアートに影響を受けた天野が、NYのアトリエで制作を開始。CANDY GIRLのキャラクターたちは、ヴィヴィッドなカラーリングで彩られた目が特徴的で、そんな新作は海外のオーディエンスたちからもすでに高い評価を受けている。「アルミでカワイイ女の子を描いてみたくて。イラストだと怖い三白眼みたいなものがあるけど、飾るんだったらカワイイものがいいなと思って。目から描いていって、どんどん引いていくと全身が出来上がっていったんだよね。色使いもキャンディカラーをテーマにして。どこか70年代にキャラクターを作っていたときと似てるんだよね。ハッチとかの世界に近い感じかな」。天野自身、思い出深い作品は、シリアスなものよりもキュートなキャラクターが多いと話す。「両方楽しいけど、同じことをやっていると煮詰まってきちゃうからね。色々あるけど、ハッチとかは癒されるよね」。

日本から世界へ向けて発信するべく、京都の伝統工芸とのコラボレーションも決定。今年400年目を迎える風神雷神屏風などに代表される俵屋宗達、尾形光琳などの流派である琳派と、CANDY GIRLのコラボレーション作品制作も始動。日本の伝統文化とファインアートを掛け合わせるという、新しい表現フォーマットで世界へと挑む。さらに、CANDY GIRLのキャラクターたちで構成されるミュージックユニット、CANDY5がカートゥーンバンドとしてアーティストデビューが計画されている。「すごいよね!ファッションとアートとミュージックが現実に出てくることはまだ世界的にないと思うんだよね。今の日本だからこそこういう試みができるんだと思う」。

デビュー以来、数々の名作を世に生み出し続けている天野喜孝の制作意欲の源は何なのだろうか?「喜んでもらうこと。自分のやるべきことがあって、それを認めてくれる人がいるからこそ自分のやるべきことがある。今評価されるより100年後にすごいって思われるようにモチベーションを保っているよ。人はいなくなるけど、作品は残るからね」。また、半世紀に渡ってトップの座に君臨し続けている彼だからこそ大切に感じていることがある。それは「時間」だ。「時間は有限だから、時間をどう使うかだよね。時間をコントロールして、自分にいい方に導ければなって思う。『生きてることを楽しみたい、人生を楽しみたい!』みたいな感じかな。なんでこんなことを言っているかっていうと、それができないからなんだけどね(笑)」。

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