「CAMPERの40年間に渡る豊富な広告ヴィジュアルのアーカイヴを振り返ってみて明確になったのは、アート、グラフィック、そしてファッションとは切り離して考えられないということでした。そしてブランドのDNAでもある型破りで、クリエイティヴ、そしてユーモアに溢れるという3つのポイントを人々に伝えることをゴールに設定したのです。また、個人的に目標にしていたのは『靴に人間性をもたらす』ということでした。『HOW TO WEAR IT』の固定概念に捕われないように、靴を履いた人の人物像を想像していったのです。しかし、靴を作る会社であるという大前提があるので、服のようにルックやシルエットが無いというのは僕にとって新鮮な挑戦でもありました。その分、個々の異なるキャラクターが重要な鍵になりましたね」と広告キャンペーンのコンセプトについて語るロマン。更に彼はこう続ける。「制作の全ては一人一人が発揮するキャラクターやエネルギーを捉えることから始まりました。これによって靴という一つの物だけではなく、一人一人がコレクションを体現する重要な核の一部となっていきました。CAMPERのコレクションでは多くの靴を発表するので、一人のキャラクターが一つのラインを表現しているのです。そして一点一点の商品には対象となる消費者がいます。スマートなものが好みな人、はたまたスポーティなものや、遊び心のあるものが好きな人……。これらの発想がスタートポイントとなることが多いです。そこからは人物像を思い浮かべることと、靴のデザインを練る作業はほぼ同時進行です。色やテクスチャーに遊びを入れながらも、最初からアイディアは明確であることが多いですね。勿論、素晴らしい才能を持ったクリエイティヴチームと話し合っていると様々な化学反応があるので、当初のアイディアとは真逆の結果で終わることもあります。ただ、伝えようとしているメッセージの真髄は一切変わりません」。