「宇佐美麻緒。京都府生まれ。京都造形芸術大学空間演出デザイン学科に一年間在学。2008年セントラル・セント・マーチンズのファッション学部ウィメンズ学科入学後、現代アーティストの下で経験を積み、2012年度にLVMH GRAND PRIX SCHOLARSHIP、2013年度にはL'OREAL PROFESSIONAL YOUNG DESIGN TALENT AWARDを受賞」。数年前、パソコンのメモ欄に書き置きした宇佐美のプロフィールである。その後、LOUIS VUITTONにてバッグのデザイナーを務めていたことは風の噂で聞いていたが、ブランドコンセプト「ステューピッド・エレガンス」を掲げ、上海で下着を中心に作っていることは、去年初めて連絡を取った際に知ったのだった。「東京の生地展に行く予定です」との連絡を受けた4月頃、それならばと思い切って「SIRLOINの服と一緒に来日して頂けませんでしょうか?」と返信した。当日、鞄いっぱいに詰まったメイド・イン・チャイナの服達は、彼女の話す「ステューピッド・エレガンス」を文字通り反映していたのと共に、中国大陸がもたらす新たな可能性をも表現していたのだった。その後、二人で東京の街を歩いた。僕の頭にあった東京らしいと思うショップを紹介するも、あまり気乗りがしない様子だったので、どこが気になっているか尋ねたところ、出て来た答えは「たんぽぽハウス」。日本の激安リサイクルショップであった。