ヴィム・ヴェンダースが1989年に公開した山本耀司のドキュメンタリー映画『都市とモードのビデオノート』の中で、山本耀司が、とある一冊の写真集を開くワンシーンがある。その写真集はアウグスト・ザンダーという写真家の『PEOPLE OF THE 20TH CENTURY』という作品集で、20世紀前半のドイツ(当時はワイマール共和国)の市井の人々のポートレイトを収めたものだ。作品は「農民」「熟練工」「女性」「階級と職業」「芸術家」「町」「路上生活者と退役軍人」と七つのセクションに分けられていて、それぞれのポートレイトの下には人物の職業が書かれている。まだ写真が珍しかった時代だったせいもあり、どの被写体も少しだけシリアスな顔つきをしているが、不思議なことにどの人物も職業と服、そして顔、人物の雰囲気が奇妙なまでに一致している。山本耀司はビデオの中でこう話している。「現代の都市の人々を見ていると、どんな職業なのか分からない人が大勢います。ただこの写真の中の人はそれぞれがその人らしい顔をしている気がするのです」。ヴェンダースはビデオの中で写真集の中の「ジプシーの青年」を映し、こうナレーションを入れている。「彼のお気に入りはこのジプシーだと思う。単に服装だけでなく、その目つきや、ポケットに入れた手の様子」。
YOU LIVE WHEREVER YOU LIVE,
YOU DO WHATEVER WORK YOU DO,
YOU TALK HOWEVER YOU TALK,
YOU EAT WHATEVER YOU EAT,
YOU WEAR WHATEVER CLOTHES YOU WEAR,
YOU LOOK AT WHATEVER IMAGES YOU SEE,
YOU’RE LIVING HOWEVER YOU CAN,
YOU ARE WHOEVER YOU ARE.
BIG BREAST T-SHIRT BY JOHN DOVE AND MOLLY WHITE AT “SENSIBILITY AND WONDER” EXHIBITION AT DIESEL ART GALLERY, TOKYO JAPAN (2017) PHOTOGRAPHY YUSUKE KOISHI