JPN DESIGNERS 2 / TAKUYA SASAKI

次なる時代を作る日本人デザイナー達②/佐々木拓也
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CURATION & TEXT SHINGO ISOYAMA
佐々木拓也
2012年、文化服装学院とここのがっこうを卒業後、アントワープ王立芸術アカデミーのファッション科に入学。在学中にHEAVEN TANUDIREDJAでインターンを経験し、2016年に同アカデミー卒業。
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ファッションデザイナーを志したきっかけは何ですか?
90年代のスニーカーブームの流れでストリートウェアに興味を持ったのが最初の記憶です。青森の田舎で生まれ育ったので雑誌くらいしかファッションの情報に触れられず、ストリートスナップやコレクション写真などを見て自分の持っている服をリメイクして着たりしていたのですが、一から自分でデザインしたものを作れるようになりたいと思い、文化服装学院でファッションの勉強を始めました。“文化”での技術重視のカリキュラムが自分の本当にやりたかったこととは違うように感じるようになっていった時、ここのがっこうのことを知り、ダブルスクールを始めることにしました。そこで初めてヨーロッパ型のファッションデザインの基礎に触れて、もっと深く、本場で学びたいと思い、アントワープ王立芸術アカデミーに通いました。

アカデミーの卒業コレクションでは、衣服の他にもモデルが様々なオブジェクトを纏っていました。どのようなコンセプトだったかをお聞かせ下さい。
最初のインスピレーションは日本のお笑いです。マスキュリニティにユーモアを加えることで、よりパーソナルなコレクションを作ることがこのコレクションの目的でした。メインとなるコレクションのステイトメントは「緊張と緩和」です。元はイマヌエル・カントから、二代目桂枝雀、松本人志らに唱えられている笑いが発生するための考え方ですが、外面と内面の落差、オンとオフのギャップから来る可笑しさのような男の二面性を表現出来ないかと考えました。このアイディアを視覚化させるため象徴として、北野武監督の映画『ソナチネ』、芸人や映画監督など複数の顔を持つ北野武本人を「多面性」のアイコンに、そして韓国の芸術家ス・ドホによる『PERFECT HOME』などに代表される透明な家や家具のシリーズを「露呈と透明性」のアイコンに定め、コレクションを構成しました。服とスタイリングは「緊張と緩和」をベースとして、強いコントラストを意識して作りました。『ソナチネ』の劇中で見られるヤクザのゆったりとした服をイメージした「リラックスウェア」と、「アクセサライズ」をキーワードにして展開しています。全ルックに装着しているコンストラクションはアクセサリーという解釈です。イメージとしては、パブリック・エナミーのフレイヴァー・フレイヴが、ジャージの上にシャワーウォッチをぶら下げているスタイリングの拡大解釈のようなものです。アクセサリーとして、日用品のようなアクセサリーらしからぬものを身に付ける、これにス・ドホの作品をリファレンスとして、服や家具などをアクセサリーにするというアイディアでした。

現在のファッションシーンに対してどのように考えていますか?
ファッションそのものの大事なところは変わっていないと思います。

あなたにとってのミューズ、ヒーローは誰ですか?
制作の上で特定のミューズを定めることは基本的にありませんが、尊敬する方は沢山います。

最近「新しい」と感じたものについて教えて下さい。
友人の作品から刺激を受けます。

最近、気になっている方は誰ですか?
ドナルド・トランプ。

繰り返し読む本について教えて下さい。
実家にある中高生の頃に買っていた雑誌。

あなたの人生に大きな影響を与えた映画についてお聞かせ下さい。
選べません。アカデミーの二年目のコレクションでは、シドニー・フランクリン監督の『大地』、三年目のコレクションでは北野武監督の『ソナチネ』をインスピレーションの一つにしました。

よく見るウェブサイトを教えて下さい。
FACEBOOK。

服作りをする際に決めているルールについて教えて下さい。
シェイプをコレクションの最初に考えます。また、ルールではありませんが、パターンから自分で考えるので、特にディテールに癖は出ると思います。

どのような機会に衣服を買いますか?
買うつもりが無くても、時間がある毎に服は見に行っているので、その際に良い出会いがあれば買います。後は、勿論必要に応じてです。

プライベートな時間はどのように過ごされていますか?
街を歩きます。

これまでの人生において、時間を忘れてしまうほど何かに夢中になったことはありますか?
子供の頃は沢山絵を描いていました。最近になってまた絵が好きになってきました。

興味のある現象についてお聞かせ下さい。
ポジティヴなことではないのですが、テロ関連のニュースはずっと気にしています。自分がベルギーに住んでいた四年の間でもパリやブリュッセルでのテロの影響を受け、街の様相は変わりました。

今後、実験していきたいと思っていることはありますか?
新しいものを作ろうとしているので、制作自体が実験の連続です。今後はもっとクオリティを上げていきたいと思います。

今後、残るものと残らないものは何だと思いますか?
残るものは、創造的なものとライヴ感のあるものだと思います。

進歩して行く時代の中でどのようなことが大切になると思いますか?
倫理観がより大切になる気がします。


TAKUYA SASAKI 1

TAKUYA SASAKI 2

TAKUYA SASAKI 3

アントワープ王立芸術アカデミーの卒業コレクションとなる、2016-17年秋冬コレクションより。