これまでのプロジェクトを通してアッセンブルが試みてきた、建物の未来の“居住者”を、建物を作り上げる対話のプロセスに巻き込むというアプローチは、ターナー賞ノミネート作品となった「Granby Four Streets」において、その深度をより増している。「『Steinbeck Studio』というコミュニティスケールでの再開発事業を支援する住宅投資団体からアプローチを受けて、リバプールのトックステス地区にある『Granby Four Streets』の抱える深刻な住宅問題に対しての改善案の提案を依頼されました。1981年に同地区で起こった、500人を超える逮捕者を出した暴動以来、住人たちは街を離れ、空家は放置されたままとなり、次第に街全体がゴーストタウンのように閑散となりました。イギリス中部及び北部における老朽化の進んだ住宅群を根こそぎ取り壊して再開発を進めるという、2002年に立案された『住宅改革案(Housing Market Renewal Pathfinders)』は住民たちの間で大きな物議を醸し出しました。過去10年に渡り、同地区に留まった住人たちは、ストリートマーケットを企画したり、通りに草木を植えて、自作のストリートファニチャーを設置するなどして、自分たちのできる範囲で街の手入れをしてきました。私たちは彼らの意思を引き継ぎながら、現在残っている建物の改修、コミュニティスペースの導入、新しい雇用の確保、自営業者の支援などを盛り込んだ、段階的な再開発の案を提出しました。スキームの第一段階として、現在、10軒の家の改修を行っています。伝統的なイギリスのタウンハウスの特徴である、大きな窓と十分な天井高を生かしながら、床が抜けている場所を二層吹き抜けのスペースにしたり、集めた瓦礫をコンクリートと混ぜて暖炉の囲いにしたり、退廃した建物のディティルをデザインのヒントとしました。スキームの第二段階では、レンガ造りの外壁だけが残る空家にコミュニティガーデンを設置する予定です」。